「子育て中の腰痛がつらい」「腰の痛みを改善させる方法はあるの?」
このような悩みはありませんか?
抱っこやオムツ替えなど育児には、腰に負担がかかる動作が多くあります。1日に何度も行う動作のため、正しい対策が必要です。
今回は、子育て中の腰痛の原因や、痛みのでにくい動作のやり方・腰痛を改善させるストレッチを紹介します。
腰痛の経験と理学療法士として多くの腰痛患者さんをみてきた知識を活かして解説します。
ぜひ、参考にしてみてください。
【腰痛を経験したパパが語る】子育て中の腰痛の原因とは
子育て中に腰痛を経験するパパは、多いのではないでしょうか?3人の息子を育てる私も、育児中の腰痛を経験しました。
子育て中の腰痛は、無理な育児姿勢が原因になることがあります。
例えばこんなやり方をしていませんか?
- 抱っこで腰を反っている
- オムツ替えのときに腰を丸めて行っている
- 前かがみで子どもの入浴をしている
子育ては抱っこやオムツ替え・入浴など腰に負担のかかる動作が多いです。特に、子育てに慣れていないうちは、体の使い方や上手な抱っこの仕方などがわからず知らず知らずのうちに、負担をかけてしまいがち。
上記は一部ですが、すべて腰痛の原因になる動作です。次項では、腰痛になりにくい動き方を解説します。
腰痛持ちのパパのための腰を痛めにくい育児動作のやり方
子育て中に腰痛になりやすい動作は以下の3つです。
- 抱っこのやり方
- お風呂のやり方
- オムツ替えのやり方
それぞれ、腰を痛めにくい動作のやり方を紹介します。
抱っこのやり方
子どもは月齢や体重によって抱っこの仕方が異なります。腰痛予防のためには抱っこの基本を覚えておくとよいでしょう。
床から抱き上げるときには、片膝を着いて重心を低くし、腰を曲げないように持ち上げます。
縦抱きの場合は、パパの腰が反りやすくなるため、腹筋に力を入れる意識をしながらお子さんを抱え込んでください。
腰椎前彎の増強は椎間関節へ負荷を与え, 椎間関節性の疼痛を誘発すると考えられる
引用元:城由起子・青木一治・友田淳雄:腰椎椎間関節症患者の脊柱アライメントと腰痛の関係.理学療法科学24(1):65–69,2009
腰を反って抱っこした方が楽に感じるかもしれません。しかし、上記の研究結果からも腰を反ると腰の関節(椎間関節)への負担が大きくなると指摘されています。
意識をお腹に持っていくだけで、腰の反りが抑えられ腰痛対策になります。
お風呂のやり方
ベビーバスを使った沐浴は、腰を痛めやすい場面です。意識していても腰への負担は大きくなってしまいます。私も息子の沐浴で腰痛を感じたことがあります。
腰痛になりにくいやり方のポイントは、体の位置です。ベビーバスにパパの体を近づけて行います。前かがみの姿勢は避けられませんが、ときどき背中を伸ばして体勢を整えましょう。
子どもが成長し、パパの膝の上に子どもを乗せられるようになれば、楽に体を洗えるようになります。
オムツ替えのやり方
床でオムツ替えをする場合の正しいやり方を紹介します。
ポイントは子どもとの距離を近くすること。お尻を床につけて、片方の膝を立てておきます。
この方法なら1日に何度もオムツ替えをしても、腰を痛めにくいでしょう。
しゃがんだり、正座したりする方法は子どもとの距離が遠くなり、腰への負担が大きくなるためNGです。
【理学療法士が教える】子育ての合間にできる3つのストレッチ
腰痛改善にはストレッチが有効です。今回は子育ての合間でも行いやすい3つを紹介します。
- おしり(大殿筋)
- ももうら(ハムストリングス)
- 股関節の前側(腸腰筋)
理学療法士として、腰痛患者さんに指導している内容なので試してみてください。
おしり(大殿筋)
おしりが硬くなると骨盤後傾(後ろに傾く)して、腰が丸くなります。腰を丸めた姿勢は椎間板(背骨の間にあるクッション)への負担が増し腰痛を起こしやすくなります。
しっかりおしりの柔軟性を高めておきましょう。方法は以下の通りです。
- 椅子に座る
- ストレッチしたい側の膝を開いて、反対側の足の上に乗せる
- 腰が丸くならないよう体をゆっくりと前に倒す
- おしりが伸びている感覚があれば、そのまま30秒キープ
- ゆっくり戻して終了
- 反対側も行う
ももうら(ハムストリングス)
ももうらの硬さも骨盤を後傾させる原因となるため柔軟性を保っておきましょう。方法は以下の通りです。
- 椅子に座る
- ストレッチしたい側の膝を伸ばした状態で、床に踵を着く
- 腰が丸くならないよう体をゆっくりと前に倒す
- ももうらが伸びている感覚があれば、そのまま30秒キープ
- ゆっくり戻して終了
- 反対側も行う
股関節の前側(腸腰筋)
腸腰筋は股関節の前側にある筋肉です。この筋肉が硬くなると骨盤が前傾(前に傾く)して、反り腰になりやすくなります。長く抱っこした日は入念にストレッチしておくと腰痛予防になります。方法は以下の通りです。
- ストレッチしたい側の足を後ろに引いて片膝立ちする
- 両手を前の膝に置いて、腰が丸くならないよう体をゆっくりと前に倒す
- 股関節の前側が伸びている感覚があれば、そのまま30秒キープ
- ゆっくり戻して終了
- 反対側も行う
予防が大事!日頃からできる3つの腰痛対策
腰痛は痛みが落ち着いたら終わりではありません。再発を繰り返す方も多いため、しっかりと予防方法を確認しておきましょう。日頃からできる腰痛対策は以下の3つです。
- 正しい姿勢を意識する
- 床に座る時間を短くする
- 小まめに体を動かす
それぞれ解説します。
正しい姿勢を意識する
腰痛対策に姿勢は大事です。一方で、正しい姿勢と言われても「なにが正しい姿勢なのかわからない」という方も多いでしょう。
正しい姿勢の基準は以下の通りです。
<後ろから見たとき>
「後頭部・背骨の真ん中・おしりの割れ目・両足のくるぶしの間」が一直線に結べる位置。
鏡を見ながら姿勢をチェックしてみましょう。
<横から見たとき>
「耳たぶ・肩(肩峰)・股関節の少し後ろ(大転子)・膝の前方・外くるぶしの後方」が一直線になる位置。
壁に後頭部・背中・おしり・踵をつけて立つと、良い姿勢が確認できます。
床に座る時間を短くする
床に座る時間を短くするだけで腰痛対策になります。
床に座ると背中や腰が丸くなりやすいためです。いわゆる猫背の姿勢は椎間板や腰の筋肉への負担を大きくします。
対策として背もたれのある椅子に深く座る、最低でも1時間おきに立ち上がり背すじを伸ばすなどを意識してみましょう。
小まめに体を動かす
子育て中は家にこもりがちで、運動不足になる方も多いでしょう。腰痛予防のためには忙しい育児の合間を縫って体を動かすことが大事です。
子どもがお昼寝している時間でストレッチをしたり、家事をしながら踵をあげたりするなど、小まめに体を動かしてみてください。
また、適度な運動はストレス解消にもつながるため重要です。
腰痛は心的ストレスとの関連が指摘されています。子育て中の腰痛を慢性化させないためにも、意識して体を動かす時間を作ってみましょう。
まとめ:子育て中の腰痛は正しい方法で対策しましょう
子育て中の腰痛に悩むパパに向けて、腰痛が起こりやすい場面や改善するための対策を紹介しました。
子育て中は、子どものことで頭がいっぱいになり自分の体のことまで考えていられない場合もあるでしょう。しかし、パパが体の調子を崩せば、育児に参加しにくくなり、ママの負担も増えてしまいます。
改善できるうちに正しい対処をするのが大事です。
ストレッチや生活習慣の見直しで症状が改善しない場合は、整形外科の受診をおすすめします。